お風呂は沸かしたてのように温かかった。


(何で・・・?)

母が何で優しくしてくれるのかがわからなかった。


もうただ、何で?のみだった。


泣かせてしまった事、意地になった自分。


自分が嫌でたまらなくなったが、その時、その気持ちが和らいだ。


(温かい・・・)

(何で・・・?)


全ての思いが感情の頂点に行きついた時、マコトは一言つぶやいて、湯船に顔を沈めた。


「ゴメン・・・」


パチャ・・・


パチャ・・・


パチャ・・・


だんだんと、それまで入っていた力が抜けて行くのを感じた。


繰り返し、湯船に顔を沈めたり、出したりを繰り返した。


(どうしたらいい・・・?)


いつも疑問で、その時も疑問で、ただ前のような苦しみがそこには無かった。