(寒い・・・)

そんな事を考えていたが具合の悪さから、そのまま眠りについた。

背中の隙から冷たい風が繰り替えし、吹き込むとその冷たさで目を覚ました。

(体が冷たい・・・)


(どうしよう・・・)


何時かわからない、ただ、ほんの少しだけ眠っただけだった。


(今なら、母親も寝てるだろ・・・)


(帰るか・・・)


寒さで冷静さを少し取り戻したのと、先ほどの具合の悪さは薄らいでいた。

体は冷え切り、ここにはもういられないとあきらめた。

家に着くと、豆電球が点いていた。

(もう寝てるな・・・)


そう思い、ドアを開けた。


カチャ・・・

音を立てずに廊下を歩くと、いつもは気にならないミシ、ミシという音が気になった。


その時、母親の寝室のふすまがスッと開いた。


「おかえり、寒かったでしょ・・・」


「少し話ししよう」

母親を見ると目が充血し、赤く目の周りが腫れて少し細くなったように見えた。

マコトは母親から目を背けたが、そこからは動かなかった。

その姿を見て母親は話を続けた。


「お母さん、学校で泣いたでしょう、あれはねマコトが学校に行きたくないとか言ったからって、そういう事じゃないよ・・・」


「お母さん自分が情けなくてね、何も知らなかったんだって、何も出来てなかったって・・・」


「マコトが意地になってるのもわかってたんだけど・・・」


「何て言ったらいいか、わからなくてね・・・」


「自分で決める事だけど・・・


「ゆっくり休んで、落ち着いたらどうするか、もう一回話そう。」


「お風呂湧いてるから、入ってね・・・」


マコトはそれを聞いて「ウン・・・」とだけ答えた。