マコトは最悪な気分のまま学校を後にして、人気のない公園へ向かっていた。


学生服のポケットに開けた穴に手を入れガチャガチャとそこに入ってるものを探っていた。


その穴の中にはライター、バタフライナイフ、タバコ、クシャクシャになったポケットティッシュ、小銭が入れてあった。


普段は使わない、意味の無いものばかりがそこに溢れていた。


この最悪な気分が晴れるかもと思い、ずっと前に誰かからもらったタバコの存在を思い出した。


普段は臭いを嗅ぐのも嫌なタバコがその時は自分を救ってくれると思った。


クシャクシャになった紺色のパッケージから一本しわくちゃのタバコを取り出し、火をつけた。


シュボッ・・・


口の中に溜めて、タバコを離し、口を開けてスッと肺に送り込むと、のどに煙が当たりむせそうになる。


「ウっ・・・クソマジい・・・」


それでも何度かそれを繰り返した。


(気持ち悪い・・・)


マコトは最悪の気分の中で、タバコを吸い最悪な気持ち悪さも味わい、とてもみじめな気持ちになった。


(何で生きてるんだろ・・・?)


もう何もかもが終わった気がして、こうしたいと思う気持ちは消え失せたが自分の存在の意味だけが気にかかった。


気持ち悪さの中で、残りのタバコに火をつけて吸った。


もしかしたら、この気持ちから逃れられるかもしれない。
そんな思いから全てに火をつけた。


全てを吸い終わり、立ちあがると立ちくらみがした。



(ヤバい・・・すごい気持ち悪い・・・)



それでもこんな所にずっといるわけにもいかない。

どこまで襲ってくるかもわからない気持ち悪さをこらえながら、家に向かっていった。

家に着くと、いつもは暗い家に電気がついていた。


母が先に家に帰っている。


いつもと違う光景とさっきの態度、母と顔を合したくないとその時思った。


家のカギは開いていた。


黙って入るとそのまま自分の部屋へ向かった。


マコトは具合の悪さからそのまま寝込んだ。


今までに味わったことのない猛烈な頭痛と気分の悪さで不安になった。

(最悪だ・・・)