「定時制とか、私立ならまだ行けるよ?
親御さんのためにも高校くらい出ておかないと・・・」


「いや、私立とか高いんで行きたくないです。
定時制も仕事の後とか嫌なんで・・・」


そんな事を言ってると母が口を開いた。


「お金の事は心配しなくていいから、
私立で良いから行きな・・・」


「うちにそんな金あんのかよっ!」

マコトはもう矢台工業に行けないと言われ、そこから怒りが抑えきれなかった。


「行かねぇよ!仕事するよっ」


「高校も出ないで、社会に出てから大変だよ。」


「いいよ、もう・・・
行かねぇから・・・」


そんなやりとりを教師としていると、母が隣で目を押さえはじめた。


グスッ・・・


母が鼻をすすると、マコトはどうしていいのか分からなくなった。


(親のために、こんな所にもう三年も座ってなきゃいけないのかよ。)


(俺は何のために生きてるんだ・・・?)


(何で泣くの・・・?)


(わからない・・・?)


(俺がいけないのか・・・?)


マコトは何が何だかわからなくなり、頭が真っ白になった。


「てめぇは、こういう所でばかり泣きやがって・・・
ふざけるんじゃねぇっ!」

母を泣いてしまった事で恥ずかしい気持ちと、自分の態度への怒りをその時どうしていいかわからずに母にぶつけてしまった。

「マコトっ!」

担任がその態度を見て睨みつけてくる。


(うるせぇ・・・)

そう思った瞬間、目の前の机を蹴り飛ばした。

ガシャーン・・・

担任の表情は一層険しくなった。


「直しなさいっ!!」


マコトはもう何もわからなくなった。


泣いている母と倒した机を見て、椅子から立ち上がり教室をゆっくり後にした。


(もう、どうにもならない・・・)


もう将来が決まってしまった絶望感に気力もなくなってしまった。