マコトの席は一番後ろの窓際の席だった。
隣には話した事も無い真面目そうな女子。

前にも話したことない真面目なメガネ君。


(最悪だ・・・)

誰か知っている人がいれば、良かったが初めて同じクラスになった真面目そうな二人に囲まれたことで、真面目でない自分が溶け込めるはずがなく、楽しくここで冬休み前まで過ごす事は不可能とマコトはその時に思った。
座りもしたものの、間隔を空けて学校に来ていたので、当然授業についていけるわけもなく、ケンタと久しぶりに会うという目的だけだったので、勉強道具は何も持ってきていなかった。仕方なくすることもないので、窓の外を見ていた。

夏が終わって、以前は若草色だった木の葉が濃い緑に変わっている。

たまに、そよ風で少し揺れてる。

その時間は、その木をずっと見ているだけだった。

(やっぱ、学校つまんね〜・・・)

(おし、もうあと一分、よし鳴れ!)

(おい!過ぎてんじゃねえか、早く終われよ!)

そんな事を心の中で考えてると、やっと待ちに待った授業終了のチャイムが鳴る。

ピンポ〜ン、パ〜ンポ〜ン。


(やっと終わった、この我慢タイム。この授業中の沈黙耐えられないよ。)

みんな、受験のために必死に勉強といった感じで教室の空気がとても重苦しく感じていた。
これも、マコトの学校に来たくない理由の一つでもある。

3年になって皆が受験のために必死になり、1,2年の時とは違う緊張感が自分の思い描いていた楽しい学校のイメージを変え行きづらいと感じていたのである。

「マコト〜久しぶり!元気だった?」

授業が終わってすぐに、ケンタが話しかけてきた。

「お〜ケンタッキ〜!
「オマエ、その頬どうした?」

こっちが元気かどうかの返事より、ケンタの頬の傷の方が先に気になった。
頬骨のあたりが2センチほど切ったような傷があったからである。

「親父にぶん殴られて・・・
あいつ乾電池握って殴ってきやがったから・・・」


「マジか・・・(何も言えない・・・)」