ある休みの日、スケボーを持ってマコトは出掛けた。

自転車で、近くの駅まで行き、そこから電車でツルツルのコンクリートのある公園まで行くのだ。

夏場は暑くて滑る気にならなかったが、秋になって涼しくなったので滑ろうと思ったのだった。

マコトはオーリーと呼ばれる板ごとジャンプする技と、ショウビットと呼ばれる足元の板を180度回転させる技だけ出来た。

その技を使って、公園の中の段差をジャンプしたり、滑ってる最中に板を180度回転させるのが楽しかった。

公園は広く、親子連れや、他のスケーターや自転車の人、いろんな人がいた。

ツルツルのコンクリートの上で滑ると、スケボーは自転車くらいのスピードが出る。

スピードが出て、固定されていないボードが一緒にジャンプしたり、その不安定でコケやすいスリルも好きだった。

そして、こけるのを恐れず技に挑戦することも好きだった。
技が決まると、スケーター達はスケボーを地面に叩きつけてたたえ合う。
そういう所も競争とか勝負事とかでなく平和を感じさせてくれた。

左足を板に乗せ、右足で漕ぐ。


近所のアスファルトでは「ガーッ」という音とともに、振動があるが、ここではそれがない。

シャーッと言う感じで滑る。そして飛んだり、板を回したりするのである。

ひとしきり公園内で飛んだりしているとすぐ疲れてしまった。

息が上がって、休んでいるとバイクの音がする。

「ウンガァァアルルルルルルゥゥゥ・・・」

そのバイクは近くまで来てスケーターの休んでいるたまり場までやってきた。

マコトはその運転手が誰だかすぐに分かった。
一つ上のナイシさんという先輩だった。
中学校の時はマコトも面倒を見てもらっていて一緒にスケボーで遊んだりしていたのだが、卒業してからはあまり会う事も無かった。