「…さすが本物だね。一瞬にしてするなんて」 僕は足元にも及ばないな。 「そんなことは・・・」 「僕は決めた。一旦マジシャンを休業するよ。天使の力を使わずとも通用するマジシャンになってみせるよ」 そう言う松岡さんは憑き物が落ちたように晴れ晴れとしていた。 松岡さん・・・ 「はい。頑張ってください」 きっとこの人なら大丈夫。 神力を使わずとも立派なマジシャンになれる。 そんな気がした。 「俺も応援してます」 「ありがとう!」 じゃあ、また。 そう言って松岡さんは会場へと戻って行った。