「…何?」


「もし、もしも、今回のことがやらせじゃなくて、本当に若菜ちゃんがハルのことを好きだったとしたら、ハルはどうした?」


「どうしたって、…なに、サクは俺に止めて欲しいの?」


いつものハルのふざけたセリフ。
だけど、私はもう茶化したり、誤魔化したりするつもりはなかった。

ハルの目をまっすぐ見つめて言った。


「そう、だよ。私はハルに止めて欲しい。だってハルの婚約者はわたしだもん。誰にもあんたを渡したりしない。私は、…世界中の誰より、ハルが好き」


「…」


びっくりしたように、ハルが大きな瞳を見開く。
小さな沈黙で息が詰まって。

だけど、次の瞬間。

私はハルの腕の中にいた。