若菜ちゃんはそう言って、もう一度深くお辞儀をすると、弾むような足取りで我が家を後にした。


「…素直、か」


その後ろ姿を見つめながら、ぽつり呟く。

あの二人が、自分たちの手で、未来を切り開いたように。

私も他人任せはやめて、ちょっとだけ素直になるのもいいのかもしれない。

考えてみれば、ちゃんと。
ちゃんと伝えたことなんてなかった。


私は、覚悟を決めて、隣の、もう一つの我が家を目指した。