「サクお姉さま、本当に申し訳ありませんでした!!」



次の日。

若菜ちゃんが我が家へやって来て、深々と頭を下げた。
しかも、とても一般市民のうちでは手の届かないような高級菓子店の菓子折りまで持って。



「もういいって!別に怒ってないし」


あまりの若菜ちゃんの恐縮具合に逆に居心地が悪くて、私は努めて明るく言った。

真実、事の次第が分かった今では、特に怒りも感じていない。
むしろ、自分の鈍さに呆れてるくらいだ。

それでも律儀な若菜ちゃんは、もう一度言った。


「でも、お詫びをしなければ、私の気がすみません。本当にすみませんでした」

「…うん。分かった。本当にもういいから。それより、これからどうするの?」


私は、何より気になることを聞いてみる。


2人が結ばれて、ハッピーエンドで終われば万々歳だけど、そうもいかないだろう。

元々若菜ちゃんは、他の人との縁談が進んでいたのだから。