「だから、やらせ。若菜に頼まれたんだよね。向井のことが好きで、親の決めた結婚なんてしたくない。けど、向井の気持ちが分からないから確かめたいって」

「…それで、何で私と勝負しなくちゃなんないの?」

「向井のことだから、普通に告ったってスルーして終わりだろ?だから、わざと若菜が誰かのモノになるって状況を作ったわけ。案の定、耐えきれなくなって自分の本当の気持ち、暴露しただろ?」


そういうこと。
納得はした。
納得はしたけど…。


「何でそれを私に教えないわけ?どうせ組長も組員たちもみんな知ってたんでしょ?私ににだけ秘密ってどういうこと!?」

「だって、サク嘘下手じゃん。絶対に向井にばれる。ま、敵を欺くにはまず味方からって言うし?」

「…信じらんない」


じゃあ何?
私は無駄に緊張したり、嫉妬したり、情緒不安定になったりしてたってこと?

怒りでわなわなと震え出す私に、ハルは言った。