「…やっと、やっと言ってくれた…!」
気づけば、そう呟いて、若菜ちゃんが向井の腕の中に飛び込んでいた。
え?
何?
What?
何なの、この月9みたいな展開は?
硬直状態の私のことなんか、完全に無視して、そのメロドラマは続いていく。
「お嬢…?」
「私、ずっと向井がそう言ってくれるのを待っていたの。私もあなたを愛しています!」
「…!自分は、地位も金も、何もありません。でも、一緒に、来てくれますか…?」
「もちろんですわ!」
「ちょっと待って!!」
私は大声を張り上げた。
ハッピーエンドは多いに結構。
けど。
「誰か何がどうなってるのか説明して」
そんな私の切実な訴えに答えたのは、ハルだった。
「はい、はい。ちゃんと説明してやるから、こっちにこい」
そう言って、私の手を引く。
「ったくサクは気がきかないなぁ。2人っきりにさせてやれって」
それもそうかと妙なところで納得して、ハルに従う。