至極真っ当な言葉を並べているような顔でハルは言ってのけた。


私の頭が沸々と沸騰していく。


この馬鹿、何言ってんの?
非常識にも程がある。


私が今までどんなに悩んできたか分かってんの!?


思いのままに全部ぶちまけてやろうかと思ったけれど、思わぬ人に先を越された。



「…私は構いませんわ」


「ちょっ、若菜ちゃん!?」



まさかこんな馬鹿げた勝負に若菜ちゃんが乗るとは思っていなかった。


けど、その表情は真剣そのものだ。



「…ハルお兄様の言うことも一理ありますもの。ここは公平に決めていただきましょう?」


「けど、…」



言い澱む私を一瞥して、若菜ちゃんは自らハルの目の前に進み出た。



「では、まず私からいきますわね」



ハルも真面目な顔をして立っている。


もう私はパニックと怒りでおかしくなりそう。


何?
2人ともマジなの?


こんなのってあり?



ちょっと待って。

やっぱり許せない。


ハルが誰かとキスするなんて、絶対に許せない。