「俺も最後に何をさせるか、色々と思案したんだが、まぁ最終的にはハルに任せることにした」
思いの外あっさりと言い放って、組長はハルを呼んだ。
ハルもそのことを知っていたのか、あまり驚いた様子はない。
ごく自然に若菜ちゃんと私の前に立って、例の悪魔のような微笑を浮かべた。
何か、嫌な予感がする。
幼なじみの勘というか何というか。
こういう表情をするときのハルは、大抵よからぬことを考えていたりするんだよね。
「…で、どんな勝負をさせる気?」
我慢できずに尋ねると、ハルはしれっとした顔で言った。
「キスするっていうのはどう?」
「…は?」
ちょっと待って。
今、何て言った?
いつにもまして、ハルの思考回路がまったく読み取れないんですけど?
呆けている私を横目で眺めて、ハルは続けた。
「だから、キスをして、良かった方が勝ち。だって、将来夫婦になるわけだし、そういう相性って重要だと思うんだよね」