結局、どんな勝負をするのかも知らされないまま、その日がやってきてしまった。


呼び出されたのは、神宮寺家。


私と若菜ちゃんは並んで組長からの指示を待っていた。


ちらりと周りを窺うと、固唾を飲む組員たちに紛れて、向井の姿が見えた。


この間、あんな重大告白をされてしまったからか、何だか気になって仕方がない。

本気で若菜ちゃんが好きなら、この場で奪ってしまえばいいのに、なんて思ってしまう。


そんなこと言ったら、自分のことさえままならないくせに、と突っ込まれそうだけど。


私が1人でぐちゃぐちゃと考えていると、唐突に組長がしゃべり出した。



「サク、若菜。2人とも今までの勝負は見事だった。さて。ここからが本当の意味での最終戦だ」


緊迫した雰囲気に、ごくりと喉がなる。


いったいこれからどんな勝負が始まるのか。


これで最後なら。

きっとこれまで以上にハードな内容に違いない。