「勝った…?」
思いがけない結果に、自分自身が一番驚いて、私はしばらく立ち尽くしていた。
えっと。
私、勝った、よね?
「サクお姉さま、お見事でした。でも勝負はこれからですわ。次は敗けません」
若菜ちゃんがにこやかに言う。
どうやら私は本当に勝てたらしい。
けど。
若菜ちゃんの言う通り。
最後の勝負は何なのか分からないけれど、それに勝たなければ意味はない。
「私も、絶対に敗けない」
私がそれだけ告げると、若菜ちゃんはまた少し笑って部屋を出て行った。
そのうちに誰もいなくなって、最後に私とハルが取り残された。
「…ありがと」
私が呟くと、ハルが少し意外そうな顔をしてそれから微かに笑った。
久しぶりの笑顔。
いつからハルの笑顔を愛しいと思うようになったんだろう。
恋だとか愛だとか。
そんなの私には無縁のもののはずだったのに。
「ねぇ、ハル?」
「何…?」
「うん。…やっぱりいいや」