組長から伝えられた二戦目のルールも、いたってシンプルだった。


弾は三発。


的には中央から100点、50点、30点と点数が付いていて、その合計点が高い方の勝ち。


そして私がこの二戦目に敗ければ、その時点で勝負は終わりだ。


息が詰まりそうな狭い空間の中で、私は大きく息を吸った。


隣にいる若菜ちゃんを見る。


若菜ちゃんは射撃の名手だという話しは、組員たちからよく聞いていた。
私が不利だというのは分かっている。

でも、心なしか若菜ちゃんも緊張しているみたいだった。



「では、試合を開始する。まずは若菜から。一発ずつ交代で撃ってもらう」



組長がそう告げた。


今日の観客は場所が狭いこともあって、かなり少ない。


いるのは、組長とハル、それに向井だけ。


若菜ちゃんは静かに頷いて、ヘッドフォンを付け直すと一歩前に出た。


愛用の拳銃を的に向け、迷うことなく引き金を引いた。