まったく余計なお世話。
今まで話しかけてもこなかった奴が何様のつもり?
「邪魔しに来たなら帰ってよね。ハルは若菜ちゃんと仲良くしてれば?」
睨み付けながらそう悪態をついても、ハルはどこふく風。
私の台詞になんか知らんぷりで、その辺にある拳銃を弄っている。
「撃ってみて」
それから、ぽつり。
まるで独り言みたいに言った。
「…何で」
「いいから撃ってみろって」
突然真面目な顔で繰り返すから、私は何も言えなくて、仕方なく拳銃を手に取った。
「まず大きく深呼吸」
隣に立つハルの言う通りに目を閉じて息を吸う。
「とにかく無心で的に集中しろ。一点を見つめて、絶対に目を離すな」
小さく頷いて、前を見据えた。
今は何も考えない。
例えば、ハルがなぜ今こんな風に私に助言してくれるのか、とか。
思うことは沢山あるのだけれど。