頭に響く銃声も、薬莢の匂いも、本当はあまり好きじゃない。


ヤクザたるもの、銃くらいは扱えて当たり前。


まだハルの婚約者が嫌で嫌でたまらなかったころから、組長から半ば強引に射撃をやらせれてはいたけれど、はっきり言って私の腕はイマイチだ。



「あーあ。また外した…」


小さく呟いて、私はヘッドフォンを外した。


ここは神宮寺家の地下室兼極秘の射撃練習場。


完璧な防音設備と、何種類もの拳銃のコレクション。きっとノブがこれを見たら、腰を抜かすかもしれない。


決して敗けられない二戦目を控えて、私は朝からここで射撃の練習を繰り返していた。



けど。
全然ダメ。


数メートル先の的は綺麗なまま。



「飛び道具は苦手なんだよね…」


ため息をついて、ショートカットの短い髪を掻きむしった。