ひんやりとした秋の空気が頬を打つ。


別に行く当てもなくて、ただフラフラと庭を彷徨いていると、ふいに誰かの声が聞こえて、反射的に物陰に隠れた。



「お嬢!いったいどういうつもりですか!?あんな汚い手を使って!!」



それは、向井の声で、すぐ近くに若菜ちゃんもいた。

凍りつくような空気に、私はその場を動くことも出来ずに、ただ成り行きを見守るしかなかった。