そんなのハルと若菜ちゃんに嫉妬してるからだよ、なんて言えるわけがない。
私は必死に自分の気持ちを押し殺して笑った。
「本当に怒ってなんかないって。ただお腹空いてて、ちょっと機嫌が悪いだけ」
「…ふぅん」
ハルはまだ消化不充分みたいな顔をしていたけど、それ以上は突っ込もうとはしなかった。
私はそのまま、出来るだけ何気なく続けた。
「それにしても、勝負って何するつもりなんだろう、若菜ちゃん」
「さぁ。とりあえず、組長に相談して、内容は公平に組長に決めてもらうとか言ってたけど」
「…そう。じゃあ、ハルはまだ何にも知らないってこと?」
「もちろん。何一つ、ね」
ハルはそう言って興味なさそうにオーディオのヘッドフォンを付け始めた。
何それ。
何その態度。
悲しいより、段々怒りが沸き起こってグッと拳を握り締めた。