「笑っちゃうことがさ、今日になって合コンに来てた一人がハブられてんの。怖いよね。昨日まで普通に仲良くしてたんだよ。」

 グループ内の反逆者にはさらに酷い仕打ちが下される。他のグループからの嫌がらせは仲間同士で助け合えるが、本当に一人で戦わなければならないからだ。

「助けてあげないの?」

「まさか。あたしはね、あのクラスでは目立たず暗すぎない立場を守ってんの。だから、そんな火中の栗を拾うような真似はしません。」

 あたしは特定のグループには所属していない。隣のクラスに中学からの仲の桃がいるし、こんなにグループ階層のはっきりしたクラスはうんざりだからだ。どこのグループにも合いそうな友達いないし。まあ、どこのグループでもそれなりな態度を取ってれば、誰の気に留めることもないと思うし。

「意外だな。」

 桃は少し申し訳なさそうな目をした。

「あたしがいじめられてた時、助けてくれたじゃん?明ってそういう子をほっとけないタイプなのかと思ってた。」

 桃はかつていじめにあっていた。

 ある日突然、とてもくだらない理由で。昔から世話好きで見ていられなかったあたしは、当たり前のように桃の味方をした。

 まるで英雄気取りだった。

 でも、桃をかばったせいで、あたしまで相当ひどい仕打ちを受けた。今でも思い出したくない。あの時ほど精神が弱ってたことはないだろう。

 あれ以来あたしは、クラスの中でできる限り中立的な立場をとれるようになったのだ。