アタシタチノオウジサマ

 突然、誰かに腕を掴まれた。その瞬間、腐りかけた左腕に温かなものが走った。

「もう充分だろ?」

 黄色いキャップを被った金髪の男があたしを見つめていた。その澄んだ瞳にあたしの心は硬直した。

「あんた…誰?」

「こいつらの仲間。」

 そう聞いた瞬間、あたしの怒りは再び蘇った。あたしはその男の手を振り払い、殴りかかった。すると、男はあたしの拳を掴み、気づくとあたしは地面にうつぶせになっていた。

「無意味な暴力は嫌いだ。」

 男はそう言うと、あたしに手を差し伸べた。

「一緒に来いよ。」

 言い返す言葉が見つからず、黙ってついて行くことにした。

「あっ言い忘れた。俺の名前は光。あんたは?」

「…葵。」






 これが、あたしと光の出会いだった。