アタシタチノオウジサマ

 しばらくして、4、5人の男が路地裏にやってきた。明らかに不良という感じだった。

「ねえねえ、一人?俺達と遊ぼうよ。」

 あたしは無言で立ち去ろうとした。正直こんなやつらと関りたくなかった。しかし、男達は行く手を阻んだ。

「逃げることないじゃん。」

「どいてください。」

「よく見ると可愛いね。こんなところには不釣り合い。」

 一人があたしの頬に触れた。全身に鳥肌が立った。

「どけっつってんだろ?」

 あたしは苛々とそう答えた。その苛立ちが男に向けられているのか、それとも別のものへ向けらているのかは自分でも分からなかった。

「何だコイツ。」

「さっさとやっちまおうぜ。」

 男はあたしを壁に押し付けた。あたしはそいつに向かってひざ蹴りをし、そいつは地面に倒れた。

「あーあ。俺達怒らせちゃったね。」

「女だからって手加減しないぜ。」

 男達は殴りかかってきた。あたしはお嬢様。小さいころから護身術を身に付けられていた。だけど、これは生まれて初めての喧嘩だった。身についてる護身術と、体中に駆け巡っている怒りが、あたしを強くした。あたしは男達に怒りをぶつけまくった。相手が弱っても殴り続けた。