アタシタチノオウジサマ

「先輩…ここは?」


「クラブだよ。大丈夫、何も心配することないから。」


 そう言って、先輩はあたしの手を引いて中に入った。いくらあたしでも、クラブは初めて何ですけど…。


 中は若者でごった返していた。先輩と同じ金髪の人とか、色々な人がいた。先輩はソファに座って屯っている集団に近づいた。その中の一人が手をあげた。


「カズヤ。」


「よっ。紫音ちゃん連れてきたぜ。」


 集団はうぉーっと盛り上がり、拍手で私を迎え入れた。


「先輩、これはどういう…。」


「まあいいから、座りなよ。」


 先輩はそういうと私を真ん中の席へと座らせた。


「何か飲む?それとも早速?」


 周りの人たちは「カズヤ、手が早いよ。」などとはやしたてた。一体どういうこと?


「いやぁ、紫音ちゃんみたいな女の子は俺達の救いだよね。」


「本当、彼女いない俺にとって癒しだよ。タダでヤらしてくれるなんてさ。」


 は?どういうこと?


「何のことですか?」


「とぼけなくてもいいじゃん。」


 カズヤ先輩はいやらしい笑みを浮かべた。


「後輩から聞いたんだよ。最近、色々な男とっかえひっかえしてるって。つまりこういうことだろ?」


 あたしが何か言い返す前に、カズヤ先輩は物凄い力であたしを押し倒した。周りはさらに盛り上がった。


「や…やめてください!」


「今更何言ってんだよ。言っとくけど、このクラブじゃみんな他人のことなんてどうでもいいんだ。だから、誰も助けになんて来ないぞ。おい、誰か手首抑えてろ。」


 あたしの隣に座ってた人が手首を押さえつけてきた。カズヤ先輩はあたしの制服のボタ
ンを外し始めた。もうダメだ…。


 そう諦めたとき、聞きなれた声が聞こえた。


「いつも他人に興味ないとは限らないんじゃない?」