アタシタチノオウジサマ

「いつもここで食べてるの?」


「…うん。」


「へえ~。あたしも最初からここで食べれば良かった。」


 東野さんは自分からは話しかけてこなかったが、話しかけると面倒くさそうだけどちゃんと答えてくれた。時々沈黙が続くけど、気まずい沈黙とは違った。何というか、会話しなくても落ち着ける人なんだと思った。


「明日もさ…一緒に食べてもいい?」


「好きにすればいいよ。でも、仲良くなったつもりでいないでね。あたし、友達作るつもりないから。」


「そんなぁ。あたしは東野さんともっと仲良くなりたいのにな。」


 東野さんは一瞬だけ、怯えたような目であたしを見た。本当に一瞬だったから見間違えかもしれないけど。


「教室でも話しかけないでね。あんたのこといじめてる奴らに絡まれるのうざいから。」


「…分かった。」


 せっかく仲良くなれると思ったのに残念だなと思った。今のあたしにとって東野さんは唯一の救いだったからだ。東野さんは次の授業をサボるらしい。



あたしは一人で地獄の教室へと向かった。