大好き‥だよ。

『そっか。田中さんはミュージシャンになりたいのね。確かにその声は素敵だと思います。２学期に行なわれる音楽会の時には是非、先導に立ってクラスを引っ張っていって欲しいと思います。お願いしてもいいかしら？』


先生は田中さんに聞いてきた。それに対して田中さんは‥


『分かりました』

笑顔で返事をした。


「やっぱ、田中さんだっけ？可愛いな」

「だよな。俺、後で話しかけてみようかな」

「お前ずるい！！俺が先だ」

「俺だよ！！」

教室の後ろの方からそんな声が聞こえてきてた。そんな男子生徒の話し声を聞いた私は


「このクラス田中さん目当ての男って多くない？」

そんな事を思っていた。



『じゃあ、次は西山君。西山友哉君お願いします』

西山君は返事をせずに教壇の前に立った。そして、私たちの様に一礼をせずに話始めた。


『西山友哉です。将来の夢は‥特にないです。自分が楽しいと思えれば、どんな職業でもいいと思う』

そう言って席に戻った。


少し大人っぽく、悪ガキっぽい雰囲気を持った子だなって言うのが私の第一印象だった。

『しっかりしてる‥』


私はそう呟いていた。すると、



『そう？』

小林君が私の感想に食いついてきた。


『じゃあ、小林君は今の言葉を聞いてどう思ったの？』

私も聞き返した。
将来大学生になりたいと言っている彼の想いが知りたかった。


『いい加減‥かな。将来の夢がないって、可笑しいと思わない？』


『えっと～‥』

何て言ったらいいのか分からず、小林君を見ると何かを期待していた。


『‥小林君って大人なんだね‥？』

そう返事をすると、小林君は「ありがとう」と言いながら嬉しそうに前を向いた。


「優等生の扱いは大変だ‥」

これからは言葉遣いに気をつけようと思った。