大好き‥だよ。

『松浦君は、プロ野球選手になるのが夢か。ポジッションは何処なの?』


『もちろん、ピッチャーです。サウスポーのエースってカッコイイと思いませんか?』

俊チャンは野球の話になると「目」が違う。でも、先生は女だから野球の事は良く分かっていなかった。


『ごめんなさいね。先生‥野球の知識少なくて。これから先生、いっぱい勉強するね!!』


『はぁ~‥』

俊チャンはため息をついていた。
それもそうだ。野球の話題を先生から振ったのに会話が続かなかったんだもん。俊チャン可愛そう。

でも、俊チャンの夢聞けちゃった!!帰ったら「俊チャン・ノート」に書かないと。


「俊チャン・ノート」
私が勝手に作ったノート。保育園の3年間で知った事が書かれている。サウスポーだってこと・誕生日‥他にもいっぱい書いてある。



『じゃあ、次は田中香織さん、お願いします』


『はい!!』

透き通るような声で返事をした。

田中さんは、背が小さくて髪の毛が長くて可愛い。‥俊チャンの隣に座っている女の子で、俊チャンが好きそうな女の子だった。



『田中香織です。私の将来の夢は、ミュージシャンです。よろしくお願いします。』

頭を下げた後、私達に向かってウインクをした。


『『うわぁ~!!』』

男の子の歓声が教室に響いた。本当、男の子って守ってやりたくなるような、小さくて可愛い子が好きだよな‥

そう思っている間に、田中さんは席に着いて俊チャンに話しかけていた。


『隣の席だね。仲良くしてね』

笑顔を振りまいていた。


『はぁ~‥』

俊チャンは「どうでもいいや」って言う顔で返事をしていた。そんな姿を見て、私はホッとしていた。でも、そんな私の態度が気に食わないのか、田中さんは私を睨んでいた‥


「このクラス‥俊チャン狙い多くない?」

冷や汗が流れてきた。