ガラガラ

担任の先生らしき人が「出席簿」を持って部屋に入ってきた。


『君もこのクラス?』

先生は、教室の前の扉で廊下にいる誰かと話をしていた。相手の声は聞こえなかった。


『じゃあ、中に入って』

下を向きながら教室に入ってきたのは‥


『俊チャン!??』

そう。
私が恋心を抱いている相手、俊チャンが目の前に現れた。


『結‥チャン??』

私は頷いた。


『はいはい。久しぶりの再会で騒ぎたい気持ちも分かるけど、とりあえず席に着いてくれるかな?えっ~と‥松浦君の席はっと‥』

先生は出席簿で席を確認してた。でも、私には俊チャンの席が分かる。


『俊チャン、席はここだよ』


『ありがとう』

俊チャンは、私の斜め後ろに座った。先生は「まっ、いっか」と言う顔をしながら教壇の上に立ち、黒板に名前を書き始めた。



私は後ろを向いて俊チャンに話しかけた。

『俊チャンと同じクラスなんて思わなかったよ』


『俺も』

私は前を向きながら小さくガッツポーズをした。


『ねぇ、どうして後ろの席って分かったの?』

隣の席の小林君が話しかけてきた。


『私と俊チャンね、保育園が一緒なの。私‥俊チャンと同じ月に生まれたんだ』


『って事は‥5月生まれ。それで僕の後ろだって?』


『そう。さっき小林君が言ってたでしょ?後ろの席は5月生まれだって』


『そうだけど‥人の話よく聞いてるんだね』


『うん』

会話が終わったとき、先生も黒板にチョークを置いて私たちの方を向いた。