大好き‥だよ。

『あはは‥』

この状況では、苦笑いをするしかなかった。

『ごめんね‥ごめん‥』

悠君は申し訳なさそうに何度も謝ってきた。

気まずい空気が流れ始めたとき、ドンドンとボールを床に叩く音が聞こえた。すぐに始める合図だ。私たちは所定の位置へと戻った。

試合が始まってからも私の右手は熱が残っていた。それにあの真剣な顔‥試合が終わるまで残像が消えることはなかった。

そのままのチームで合計3セット試合をした。その間、悠君と会話することも目を合わすことも無かった。何て話しかけたら良いのか、いい言葉が見つからなかった。

よそよそしい態度の私たちとは違って、唯一和樹君だけは試合に勝って上機嫌だった。和樹君の持ち前の明るさのお陰で、体育館の中が暗くなることはなかった。


それから約1ヶ月。
放課後、誰に誘われても断り続けた。華代が誘ってきても‥。

悠君とはあの後すぐに「仲直り?」をしたので悠君が原因ではない。私が断っているのは、これ以上俊チャンと由愛が話している姿を見たくないからだ。

教室では話さないのに、放課後クラスで遊ぶときには必ずと言って良いほど由愛も参加するようになっていた。参加しちゃいけないという規則があるわけじゃないから不思議ではないけど。でも、了承をしているのは俊チャンだっていう所が気になる。それもバレンタインの日から。

やっぱり2人は付き合っているのかな?
教室で話さないのは照れ隠しからなの?

和樹君と悠君に聞いても「知らない」の一点張り。真相を明らかにするには、後は本人に直接聞くしか残されていなかった。


明日はホワイトデー。

どんな結果が待っていようと、俊チャンから直接聞こうと‥そう決めた。