『あれ?まだ教室に残ってたんだ』
『うん‥』
そこに立っていたのは俊チャンだった。今は‥逢いたくなかったのに。今すぐこの場から離れたかった。
『何してたの?』
手を伸ばせば届くくらいの距離まで近づいてきた。独特の気配に私の胸はドキドキ動き出した。
『何してた?』
男らしい口調に沈黙は続かなかった。私は囁くように話し始めた。
『机の上の教科書を片付けてて、今帰ろうと思ってたの。それからチョコをね‥』
目を落とすと、俊チャンの左手には由愛から貰ったと思われるチョコがあった。
『チョコがどうした?』
『それ‥』
俊チャンの左手を指差した。
『あっ、あぁ~。これは‥』
「由愛から貰った」照れながらそんな言葉聞きたくなかった。何も聞きたくなくて、「また明日ね」そんな挨拶も視線も交わさずに、下駄箱に向かって駆け出していった。
俊チャンから逃げるように走っている途中、視線を感じたので一度だけ振り向いた。でも、その視線は俊チャンではなく‥由愛のものだった。由愛の目は少し腫れていた。きっと‥うれし泣きでもしたんだろう。誰かがそう言ったんじゃない。現状を見て私がそう思っただけ。
もっとがむしゃらになればよかった。気になったなら聞けばよかった。そうすれば、他の可能性を考えたのかもしれない。”2人は付き合っていない”って確証を持てたのに。
でも気付いたら、下駄箱に向かって走っていた。
次の日、華代にその事を話そうかどうか迷った。でも、昨日も心配させてしまった事を思い出し、俊チャンのランドセルの中にチョコを入れた事しか伝えなかった。
「どうして直接渡さなかったの?」始めはチクチク言われたけど、それでも私の勇気を分かってくれて、微笑んでくれた。その笑顔で心の中がスッとした。いろいろ気に掛かることはあるけど、俊チャンと由愛の仲が少しずつ近づいているような感じがしたけど‥気にしないようにした。そうしないと、私が私でいられなくなりそうだったから。
『うん‥』
そこに立っていたのは俊チャンだった。今は‥逢いたくなかったのに。今すぐこの場から離れたかった。
『何してたの?』
手を伸ばせば届くくらいの距離まで近づいてきた。独特の気配に私の胸はドキドキ動き出した。
『何してた?』
男らしい口調に沈黙は続かなかった。私は囁くように話し始めた。
『机の上の教科書を片付けてて、今帰ろうと思ってたの。それからチョコをね‥』
目を落とすと、俊チャンの左手には由愛から貰ったと思われるチョコがあった。
『チョコがどうした?』
『それ‥』
俊チャンの左手を指差した。
『あっ、あぁ~。これは‥』
「由愛から貰った」照れながらそんな言葉聞きたくなかった。何も聞きたくなくて、「また明日ね」そんな挨拶も視線も交わさずに、下駄箱に向かって駆け出していった。
俊チャンから逃げるように走っている途中、視線を感じたので一度だけ振り向いた。でも、その視線は俊チャンではなく‥由愛のものだった。由愛の目は少し腫れていた。きっと‥うれし泣きでもしたんだろう。誰かがそう言ったんじゃない。現状を見て私がそう思っただけ。
もっとがむしゃらになればよかった。気になったなら聞けばよかった。そうすれば、他の可能性を考えたのかもしれない。”2人は付き合っていない”って確証を持てたのに。
でも気付いたら、下駄箱に向かって走っていた。
次の日、華代にその事を話そうかどうか迷った。でも、昨日も心配させてしまった事を思い出し、俊チャンのランドセルの中にチョコを入れた事しか伝えなかった。
「どうして直接渡さなかったの?」始めはチクチク言われたけど、それでも私の勇気を分かってくれて、微笑んでくれた。その笑顔で心の中がスッとした。いろいろ気に掛かることはあるけど、俊チャンと由愛の仲が少しずつ近づいているような感じがしたけど‥気にしないようにした。そうしないと、私が私でいられなくなりそうだったから。

