大好き‥だよ。

『あのさ~‥』

次の一言に全員が注目した。

『こんなにチョコいらない』

『『『えっ!?』』』

立ち上がって背伸びをし無表情で自分の席に着いた。一瞬静まり、また沈黙が来るかと思ったが、女の子の悲鳴が教室内に響いた。

『私のだけ貰ってよ』
『私のは本命なんだよ』
『甘めに作ったのだから‥』

『だから、いらないって‥』

俊チャンの意思を無視して、みんなは机の中へチョコをほおり込んでいった。そして、あっという間に溢れるくらいのチョコで机の中を埋め尽くした。

『はぁ~』

俊チャンがため息をついたとき、こっちでは和樹君が呆れ果てていた。

『モテる男も辛いよな。でも、1個くらい俊からチョコ貰おうかな』

『和樹!!』

『冗談だって(苦笑)』

華代は和樹君の胸をポカポカ叩いた後、私に囁いた。

『じゃあ、私は席に戻るね』

『うん。後でね』

華代が席に着いたのを確認すると、さっき言われた言葉を思い出しため息が出た。

”1歩出遅れてるよ”

そんなの分かってるよ。
でもね、大勢の中の1人にはなりたくないの。特別でありたいのに‥

俊チャンを見つめているとき、隣では悠君が私を見ていたなんて全然気付きもしなかった。

『結さん‥』

はぁ~いつチョコ渡そうかな。ってか渡す勇気あるのかな‥

『結さん!!』
『は、はいっ!?』

急に声を掛けられ、声が裏返った。