大好き‥だよ。

『でさ~‥』
『グッモーニーーング♪』

和樹君の声と誰かの陽気な声が重なった。4人で一斉に振り向くと、扉の前に立っていたのは悠君だった。

『何だよ、悠かよ‥
朝から元気だな。何かいい事でもあったのか?』

同意見!!と言わんばかりに、他の3人は頭を上下に振った。

『いい事?これからだよ。
実はさ、下駄箱にクラスの女子が沢山いたんだ。きっと俺にチョコを渡すんだぞ!うふふふふ‥』

不気味は微笑を浮かべていた。

『イヤ、悠とは限らねぇんじゃ?』

心配する声は悠君の耳には届いていなかった。


バタバタバタ‥廊下を走る靴の音が次第に大きくなって来た。

はぁはぁはぁ‥沢山の目が教室の中を見渡していた。

『俺はここにいるよ』

悠君は右手を大きく振って自分の居場所をアピールしていた。

『あっ!何だ~そこに居たんだ』

捜していた人を見つけると、嬉しそうに彼の前に近づいた。

『おはよう、俊』
『おはよう、俊』
『おはよう‥』

みんなが捜していたのは、予想通り「俊チャン」だった。

『あっ、おはよう‥』

俊チャンの顔からは笑顔が消えていった。

『これ、私の気持ち。受け取って』
『ずるい!!私のチョコはね‥』
『私のは手作りなの』

いつもよりはしゃいでいる女の子全員が輝いて見えた。自分の想いとチョコを一生懸命渡している。

みんな勇気あるな‥いいな‥。でも、俊チャンはどうするんだろう?

少し不安になって来た。