大好き‥だよ。

そんな私の様子に一番驚いているのは、俊チャンの方だった。

『悠と付き合ってない?
だって、今凄く幸せそうな顔してたけど‥?』

『それは‥』

俊チャンの事を考えていたからなんだよ!なんて、正直に言えなかった。でも、ここでちゃんと説明しておかないと、私たちの今の関係が崩れてしまうと思った。

『本当に付き合ってないよ。悠君はね、これからもずっと大切な友達の一人だよ。
他の人にはどう思われてもいいの。でも‥俊チャンだけには事実を知っていて欲しい。私の言葉を信じて欲しい』

祈るような思いで気持ちを伝えた。

真剣さが伝わったのか、俊チャンは「そうか」と呟いて机のある一点を暫く見つめていた。

何て声をかけたら良いのか分からなかったので、俊チャンの反応を待っていると、再び「そうか」と呟いて、今度は右手で頭の後ろをグシャグシャと掻いていた。

『なんか‥ごめんな?』

『ん?どうして俊チャンが謝るの?』

『イヤ‥何となくさ』

『何となくって何?』

『だから、何となくだって』

『だから、何となくって‥』

それ以上返す言葉が見当たらなかった。その瞬間、俊チャンとの勝負に負けたような気がして少し悔しかった。頬を膨らませて悔しがっていると、俊チャンが私の顔を見て笑い出したので、つられて私も笑った。

格段の相違がある訳じゃないけど、声は少しだけ明るく、表情は最近見た中では一番の笑顔を見ているように思えた。

私も、俊チャンに負けないくらいの笑顔を向けていると思う。ううん。この勝負はきっと私の勝ちだ。

それくらい今の私は幸せ。

だって‥悠君との仲を聞くって事は、ほんの少しでも気にしてくれてたって事だよね。そう思ったら嬉しかった。


私たちが思っている以上に大声で笑っていたみたいで、隣の教室から先生が入ってきた。

『五月蠅い!さっさと練習に行け!!』

強制的に教室を追い出された。