大好き‥だよ。

『俊‥チャン?』

『何?』

『あっ、ううん。今何考えてたのかな~って思って』

弁解しようと思ったけど、いい言葉が思いつかなかった。そんな自分の言動を反省していると、俊チャンはずっと前から思っていたことを少しずつ話してくれた。

『大会も近いしさ、練習中は余計な事とか考えたくないじゃん?だから‥』

そのまま黙り込んでしまった。

「だから何だろう?」その先の言葉が気になった。気になって気になって‥もう、これ以上待つことが出来なかったので、続きを話すように誘導した。

『私が知っていることなら何でも話すよ。だから何でも質問して?』

そう言ってから話し出すまでに掛かった時間は、ほんの数秒のはずなのに‥待っている方からすると、10分くらい待たされた錯覚を起こした。それくらい緊迫した空気が2人に流れていた。

ときどき私を見ながら俊チャン話始めた。

『えっとさ、何て言うか‥今さらかもしれないけど‥でもさ、一緒にいるのに俺だけ知らないのも可笑しいと思ってさ。でも隠したいのかもしれないと思って、なかなか聞き出せずにいた事なんだけど‥』

所々相槌を入れながら聞いていたけど、核心に迫る事を言ってくれないので、何の事を聞きたいのか未だに良く分からないでいた。

『あいついい奴だし‥』

ここで漸く誰かの事について聞かれているんだという事が分かった。

『話していて楽しい奴だし‥』

ここで性別は男だって事が分かった。

『あの日から楽しそうに話してるからさ‥』

ここでクラスの誰かだって事が分かった。

『付き合っているのかな‥って思ってさ‥』

ここで、漸く悠君との関係を聞かれているんだっていう事が分かった。