大好き‥だよ。

『やっぱイイヤ。ごめん!!』

さっきまでの険しい顔からいつもの優しい顔に変わった。

『何か言いかけて途中で止めるのはナシだよ。何かムズムズする』

体をクネクネさせて見せると「いも虫みたい(笑)」と言って笑いものにしてきた。頬を膨らませると、今度は「リスみたい(笑)」と言ってからかってきた。

怒った私は、机の上に置いてあった消しゴムを俊チャン目掛けて投げた。でも、軽々と避けてランドセルを肩に掛けて教室を出て行った。

『ちょ、ちょっと待ってよ〜』

右手を伸ばしてランドセルを掴み、急いで後を追った。

下駄箱に着くと何食わぬ顔で俊チャンは待っていてくれた。「ありがとう」と言いかけたけど、先に念を押しとかないと、さっきのやり取りが無かった事になってしまうような気がした。

『ねぇ〜俊チャン‥』

『ん?』

『今日じゃなくていいから‥いつか、さっき言いかけた事教えてね?』

『‥うん』

短いやり取りをしている間に靴を履きかえ、肩を並べた。

『待っていてくれて、ありがとう』

お礼を言ったら照れ臭くなってお互い静かになった。今の空気をどうしても変えたくて、全然違う話題を持ち掛けた。

『俊チャン背、伸びたね』

『まじ!?』

『うん、まじ(笑)』

そんな些細な会話をしながら練習場所に向かった。