大好き‥だよ。

『俊チャン‥私の靴‥間違ってる‥』

『えっ、俺もだけど‥』

『でもさ、サイズ言ってその後に手渡してきたんだから‥間違ってるって事はない‥よね?』

『とりあえず履いてみよう』

『う、うん‥』

入る!!
そう言い聞かせて足を入れたら、入るには入ったけど‥指が締め付けられて痛かった。立ち上がるのにも一苦労だった。

『21を渡してくるなんて可笑しいよね?』

『俺には23だった‥』

そう。私たちが渡された靴は、宣告したサイズより小さい靴だった。それでも「スパイクって大きく作られているのかも」と思った私たちは無理に履いてみた。でも、やっぱりその考えは間違っていた。

痛みを我慢してスタート位置まで行くと、学校で見かけたことがある程度の先輩達が整列していた。

『みんなに紹介する。今日から練習に参加する松浦と桜井だ。よろしくな』

『よろしくお願いします』
『えっと‥よろしく‥です』

一礼をすると拍手で歓迎してくれた。先輩達とは上手くやっていけそうな気がした。

『挨拶はこれで終わり。では練習を開始する。松浦と桜井は短距離と長距離ならどっちだ?』

『短距離です』
『短距離です』

『分かった。じゃあ、グランド内のランニングから参加しろ』

周りの行動を見ながら一緒になってランニングに参加していると、女の先輩が話しかけてきてくれた。

『始めまして、込山って言います。私も短距離専門だからこれから宜しくね。何か分からない事とかあったら何でも聞いてね』

『桜井結です。こちらこそ宜しくお願いします。あの、早速なんですが1つ聞いても良いですか?』

『何だろう?』

私の質問に興味津々と言う顔で見てきた。

『あの、スパイクの事なんですけど‥きつくないですか?私、普段履いているサイズより小さいの渡されて‥』

込山さんは私の足元を1度見たかと思ったら、すぐに正面を向いた。

『話してるのがバレると原っさんに怒られるから(苦笑)でも懐かしいな。私も去年は本当に辛かった』

『込山さんもですか?』

『そうよ。でもね、ちゃんとした理由があるの』

去年の事を思い出しながら話してくれた。