大好き‥だよ。

『華代ね、和樹君に言いたいことがあるんだって。聞いてあげて』

『‥おう?』

とりあえず返事をしたって感じの声だった。


このとき、少し私も迷っていた。
自分の気持ちを相手に伝えるのって、本当に勇気のいることだと思うの。だから、私からそれとなく話を振ってあげればよかったのかなって。そうすれば、こんなに長い沈黙は無かったのかもしれないって。

華代の背中を押して、5分が経とうとしていた。


『私ね‥』
『俺のシュート見たか?』

勇気を出して華代が話し出したとき、和樹君も同時に声を発していた。その瞬間、なんとなく二人を包んでいた空気の温度が変わった気がした。すると、緊張の糸が切れたのか、二人は見つめ合って微笑んでいた。

『プレー中、華代の声が聞こえなかったから、見てなかったのかと思ってた』

『私の声、聞こえるの?ちゃんと届いてるの?』

『当たり前だろ。
華代の声援は特別だ(笑)』

そう言って、華代の前髪をクシャクシャにしていた。いつもなら「止めてよ!」って和樹君の手を振り払うけど、今は‥ハニカミながら足元をずっとみていた。


暖かい目で二人を見ていると、すぐ隣から「お節介」という声が聞こえた。視線を声のした方に移すと、すぐ隣に俊チャンがいた。状況を把握するのに3秒かかった。3秒後の私の目は見る見る大きくなっていった。

『目‥そんなに開いて痛くない?』

私の顔を覗き込むように、俊チャンの顔が近づいてきた。展開が急すぎて声を出すことが出来なかった。あと少しで‥

動揺を隠せずに何度も瞬きをしていると、俊チャンと目が合った。


『それだけ瞬きすればもう大丈夫か(笑)』

平然とした顔で俊チャンは2人に視線を移動させた。

私の方は、漸く呼吸をする事が出来たっていうのに‥。私の様子をおもしろがっているのか、何の企みもなくやっているのか判断がつかなかった。


私は俊チャンを見つめ、俊チャンは二人の熱々の仲をそれぞれ見ていた。すると、取り残された一人の男の子が輪の中に無理矢理入ってきた。