大好き‥だよ。

『そういえば、さっきの和樹君のシュート本当に格好良かったよね。思わず「ナイスシュート」って叫んでたもん!!華代もでしょ?』

一瞬きょとんとして、それから無条件に爽やかな笑顔で私を見た。

『結と俊君の連係プレーだって見事だったよ。二人の息が合ってて、他の人には入り込む隙間なんて微塵も与えないって感じでさ。言葉じゃなくて、何かね、もっと奥深くで繋がってるって感じ?』

華代の方が一枚上手だった。
こっちから攻めたのに、今は立場が逆転して追い込まれているのは私。華代の言った事について考え込んでしまいそうだった。

でも、少しの沈黙のお陰で冷静さを取り戻し、もっていこうと思っていた話の方向へ向かうことが出来た。


『さっきさ、華代の声援があんまり聞こえなかったけど、ちゃんと和樹君の応援してた?』

『そう?
「頑張れ~」って叫んでた‥‥よ?』

『何、その最後の間は?』

『う~ん‥‥‥』

それだけ言うと、華代は黙り込んでしまった。明らかに何かに悩んでいた。


私は‥
出来ればここから少し動きたかった。後ろを振り返っても、下駄箱に人が行き来する様子が見えないし、トイレから出てくる人の確認もできない。だけど、華代に動く気配がない今は、この位置から移動することは困難だった。

すると、華代が廊下の壁に寄りかかったので、私も同じように壁に肩をつけた。いつもなら、私の方が見上げるように見ていたが、今は同じ目線だった。目が合うと、突然華代が笑い出した。

『私、こんなに小さくない(笑)』

『何それ。ひどい~!!』

ムキになっていると、華代は背中を壁につけて、天井を見つめながら話し始めた。