大好き‥だよ。

『ねぇ、華代。私トイレに行きたいんだけど、一緒に行かない?』

上目遣いに華代を見て、次の言葉を待った。

『うん。いいよ』

そう言って私よりも先に立って歩き出した。遅れを取らないように、私もすぐに後を追いかけた。


華代の横に並んで歩いていると、笑いすぎて痛いのかずっとお腹に手を当てていた。

『大丈夫?』

心配になって声をかけたとき、ずっと後ろから西山君の声がした。声だけで、どんな動きをしているのか想像したのか、また一人で笑い出した。華代は目に涙を溜めて「大丈夫。大丈夫」と何度も私に言った。でも、苦しそうで余計心配になった。


下駄箱まで来ると、クラスの声がやっと聞こえなくなった。その時にはもう、華代は普通に歩いて、普段の冷静さを取り戻していた。そんな様子を見て、ちょっと笑いながら上履きに手を伸ばした。

靴を履き替えて少し歩き出したとき、左後ろから肩を叩かれて、びっくりして思いっきり振り返った。華代は、そんな私の反応を見ると何も言わずに先を歩いた。


『何が言いたいの?』

小さい声で言ったつもりだったけど、廊下は思っていた以上に響いた。何だか恥ずかしくて、その場に立ち止まってしまった。すると、それに気付いた華代は私の所まで戻ってきて、耳元で囁いた。

『俊君を捜しに来たんでしょ?(笑)』

何でもお見通しよ☆
という顔で私を見ていた。確かにそれもあったので、その声に頷くことも答えることも出来ずに固まってしまった。


そんな私を溶かしてくれたのは、ハンカチで手を拭いている女の子だった。その女の子を見ていたら当初の目的を思い出し、私のちょっとした反撃が始まった。