大好き‥だよ。

1班対3班の試合が終わると、タイミングよく1時間目の終了のチャイムが校庭に鳴り響いた。2時間目も校庭で体育をやるため、ほとんどの生徒は地面に腰を下ろして休んでいた。

先生も「疲れた~」と言いながら額に流れている汗をふき取ると、最初にお尻を地面につけてからその場に座り込んだ。その様子を見ていた西山君は、ニヤニヤしながら「良い枕発見!!」と先生を指差しながら叫んだかと思ったら、突然そこに向かって歩き始めた。

今度は何を考えているのか気になった私達は、座りながら二人の様子を見ていた。すると、叫んだとおり先生のお腹を枕代わりにして、気持ちよさそうに仰向けになって寝転がっていた。

はじめは、「暑苦しい」とか「重い」とか言いながら西山君を引き離そうとしていた先生だったが、それが不可能だと気付くと、諦めて先生まで仰向けになって寝転がっていた。


その後、動かない2人を見ていたら何だか動物園にいるような錯覚を起した。

可愛い動物の動いている姿を見に来たのに、それをあざ笑うような目で私達を見つめ、全く動く様子を示さなかった。何度か名前を呼んでみたり、手を振ってみても知らん振りをしていた。

ずっと見ていても動きそうにないので、他の動物を見に行こうと動き出すと「ジャリ」っという音が聞こえた。漸く2人が動いたのだ。


『結!先生が動いたよ。少し横に移動した!!』

華代は私の服の袖を引っ張りながら、夢中になって実況してくれた。でも今の私には、2人が動いたことよりも、華代の反応の方が興味深かった。

そのまま見続けていたら絶対に笑ってしまいそうだったから、華代から視線をそらしてクラスの皆を見た。中には華代と同じ様に、お腹を抱えて笑っている人もいた。

『ん!?』

私はある違和感を感じた。
よく見ると、俊チャンたちの姿がなかった。

「何処に行っちゃったんだろう?」

10分間の休み時間で行かれる場所を必死になって考えた。残りの時間を考えると、あっちに行ったりこっちに行ったりとすることは出来ない。捜しに行かれるとしたら1ヶ所が限度だった。