大好き‥だよ。

『まずいな‥』

突然、俊チャンが呟いた。声に反応するように横を向くと、俊チャンの視線の先にいる人物は先生だった。眉間にしわを寄せて静かにターゲーットに向かって歩み寄る先生‥‥「あっ、捕獲完了」私は心の中でそう言っていた。

先生は和樹君を引きずりながら白線の外まで連れて出した。そして長い説教開始。

和樹君は、最後まで目を潤ませて歯を食いしばっていた。先生はまだしつこく怒鳴っている。


『お前がそういう態度だったら先生にも考えがあるぞ!!』

どんな仕打ちが待ち受けているのか気になったのか、漸く顔を上げた。

『今日の1・2時間目の体育の授業は見学!以上!!』

『そんな~‥』

先生は、一度言った事を覆す事は決してなかった。それを分かっている和樹君は、トボトボと私達が座っているベンチに向かって歩き始めた。その間に、和樹君抜きの試合が再会していた。


ベンチに辿り着いた和樹君は、大きなため息をついたきり隅でじっとしていた。勇敢な俊チャンは、和樹君の肩に手をまわして話しかけた。

『先生、何だって?』

『はぁ~‥』

質問の返答はため息だった。でも、それだけで分かってしまうのが俊チャンである。

『そっか。それは辛いな‥
でも、さっきのは明らかにお前が悪い。調子に乗りすぎ!』

『‥‥‥』

声を出す気力も残っていないようだ。
それ以上は誰もベンチの中で話す人はいなかった。イヤ‥「静かにしていてくれ」というオーラを感じとったからなのかもしれない。