大好き‥だよ。

『次、パスするから(笑)』

私を指差した後、鳴海君の肩に左手を乗せて、二人で中央に向かって走って行った。一人であたふたしていると、後ろから彩チャンが私を押した。

『私はゴールを守るからさ。攻撃は任せたよ!!』

それだけ言うと、一人でずっと後ろのゴールに向かって走って行ってしまった。私が「任せて」と叫ぶと、彩チャンは後ろを向いたまま、右手を左右に振っていた。

『よし、追加点!!』

気合を入れなおして校庭の中央に行くと、私が位置についたのを確認してすぐ、先生が試合再開の笛の合図を鳴らした。


20分後‥

ピー
試合終了の笛が鳴った。


『この試合、5対0で1班の勝ち。礼!!』

『『ありがとうございました』』

挨拶が終わると、その場に和樹君が座り込んだ。


『お前等のチーム強すぎ!!チームワークもいいし‥先生、チーム換えしないと試合にならないよ~』

和樹君が駄々を捏ねていたが、俊チャンが笑いながらその申し出を跳ね返した。

『仕方ないだろ?班対抗戦なんだからさ。なっ!悠(笑)』

『そうだ、そうだ。俊の言うとおり(笑)』

『だよね~(笑)』

『うわぁー、お前等3人あとでどうなっても知らないからな!!』

私達は和樹君をその場に残して、ベンチへ走った。チームみんなで仲良く一列に並んで座っていると、先生は無理矢理、和樹君の両手を掴んで立たせていた。その様子を一部始終見ていた私達は、和樹君への応援だけをした。

さっきまであんなに機嫌が悪かった和樹君だったが、声援を聞くとコロッと態度が変わった。何故か、笑顔で両手を振って自分をアピールしていた。それを見ていた俊チャンは、笑いながら鳴海君に話しかけていた。


『和樹って本当に単純な奴でさ(笑)。でも、本当にいい奴なんだ。3年1組のムードメーカー的存在で、みんなから頼りにされてるんだ。
なんか、転校初日からサッカーとか先生も何考えてるか分からないけど、あの担任も含めて、個性的な奴の集まりだけど、でも本当にいいクラスだからさ』

私は、鳴海君の顔をまじまじと見てしまった。俊チャンの方を見るかと思っていたら、何故か私を一度見てから俊チャンを見た。