大好き‥だよ。

『先生‥少し痩せたら?』

声を上げて笑っていたので、クラスのみんなもつられて笑いそうになった。でも、直に事の重大さに気付き緩んだ頬を引き締めた。そして、コンマ数秒後‥


『痛ってぇ~!!』

西山君の悲鳴が校庭に響いた。

『鳴海君‥覚えておいた方がいいよ。西山君の様になりたくなかったら、余計な事は言わない方がいい』

『‥みたいだね‥』

校庭まで全力で走ってきたので、額からは光るものが流れていたが、一気にひいていくのを感じた。見渡してみたけど、クラスのみんなが西山君を気の毒そうに見ていた。


『まっ、西山の件はこれで終わりにして。チーム分けだけど‥席順で良いよな?とりあえず、1時間目はサッカー。2時間目の体育は、その時の状況次第ってことで。じゃあ、早速1班と2班は中央に集まれ』

先生の掛け声と同時に、みんなは移動を始めた。私は彩チャンと一緒に校庭の中央に整列した。すると早々、鳴海君と和樹君の目からは火花が飛んでいた。

『悠の実力みせてもらうぞ』

『俺だって』

二人のやり取りが終わると、先生の笛の合図で試合が始まった。


最初にボールを蹴っていたのは和樹君だった。綺麗なドリブルで私達を簡単に抜いていった。そして、シュート!!

決まったと思ったが鳴海君が阻止してくれた。ボールは今、鳴海君の右足の下。


『反撃しますか』

『了解!!』

俊チャンと息の合ったパスをし合って、今度は私達のチームが優位な体制になっていた。どっちがシュートをするのか、ゴールキーパーを惑わすような心理作戦で攻めていた。そして、最初のゴールを決めたのは鳴海君だった。

『ナイスシュート、悠』

『いや、俊のパスが良かったんだよ』

二人がハイタッチして喜んでいる輪に、私達のチームは集まった。


『俊チャンと鳴海君、今日が始めてなんて思えないくらい見事だったよ!!』

『そっ?』

短く返事をした後、私の前に来て両手を挙げた。ハイタッチをしようと思ったけど、俊チャンの手が高い位置にあって思いっきりジャンプをしないと届かなかった。


『背‥伸びたね‥』

『そっかな?』

ちょっと笑った顔で私を見ていた。その顔を見ていたら、自然と私も嬉しい気持ちになった。