大好き‥だよ。

『私ね、由愛(ユメ)って言うの。よろしくね』


『私は花梨(カリン)。よろしく』


『私は千鶴(チヅル)。よろしくね』

誰が見ても、この3人が好きな人は俊チャンだという事が分かった。



『あのね‥松浦君。これから俊君って呼んでもいいかな?私の事も下の名前で呼んでいいから』

3人の中の一人が言った。


『由愛ばっかズルイ!!私の事も花梨って呼び捨てで良いよ』


『私も!!』


3人は俊チャンを奪い合っていた。でも、当の俊チャンはと言うと‥


『はぁ~‥』

大きなため息をしていた。


「俊チャン・ノート」の情報によれば、俊チャンは‥

①女子が苦手
②話が苦手
③野球以外、あまり興味がない


それから‥

女の名前を覚えるのが苦手という事。


保育園のとき、私以外の女の子の名前を呼んでいるのを見たことがない。
用事があるときは、私を中間に入れるか「あの~」と言うかのどちらかだった。


私の唯一の自慢である。




『俊君って彼女とかいないの?』

急に3人の中の誰かが言った。


『私も気になる!!どうなの?』

えっ!?
それ、私も凄い気になる!!


クラス中の女の子が俊チャンの言葉に耳を傾けた。