「ゆ、悠紀〜」



だけど屋上に着く前、俺は奈々を階段の壁に押し付ける。


「な、何?」


いつもと違う俺に奈々は心配そうに見つめてくる。


「昨日の態度何?」


「…気分悪かっただけっ……」


「だったらそう言えよ。」


「あの…悠紀…私…」


だけど


俺は奈々を抱きしめようとする。


すると



………えっ?



奈々は拒否した。


なんで拒否するんだ?



更に不安で怖い……



すると


「奈々…なんでだよ…」


俺はしゃがみ込む。



嫌われたくない……



奈々は俺を好きだよな?マジで……



すると



「ごめんっ……私そんなつもりなかったの。でも…」



奈々は俺のシャツの裾を掴む。


「悠紀の事信じたい…でも不安があって…」


「…………え?」


「昨日、偶然理科室で見ちゃったぁ…悠紀が知らない人とキスしてるの…」


……………え?


礼かよ……


タイミング悪………



だから奈々は……


「それで…お前…」



「不安なの…悠紀は私を想ってるの知っても…怖いよ…すごく。辛いよ…だめなの…」



俺はそんな奈々の手をぎゅっと握る。



「ごめん…違うんだ…あれは。」



俺は奈々に事情をちゃんと話す。







「そうだったの…」



話すと奈々は安心した表情になった。




「ごめんな…」


「ううん…私がだめなの。悠紀の事信じたいのに……」


「奈々…」


「だって悠紀がすごく好きなんだもん…前みたいに離れちゃうのやだもん…」


奈々は泣きながら言う。


「……大丈夫だよ。離さないって。」


俺は奈々を抱きしめて言う。


「……うん…」


「嬉しかったよ?奈々がちゃんと想ってくれてて…俺、昨日不安だったからさ。」



辛くて切ない事もある。


でも乗り越える度何かが変わる。俺らの中で……