「ただいま〜」
「あ、悠紀…おかえり。」
……あれ?女今日はいないのか。
家に帰ると親父一人だけ。
「……今日は一人なんだ。」
俺は靴を片付けるとリビングに行く。
すると
「……悠紀は…俺が再婚するって言ったらどうする?」
いきなり親父が聞いてきた。
「………え?」
前だったらひどい事を言ったと思う。
でも今は……
「いいんじゃねぇの?親父も年だし。」
「悠紀…」
「俺も今マジで好きなやついるから。」
「え?あの里沙ちゃんって子違ったんだよな?」
「あいつじゃねぇよ。」
「そうか。」
「今度…会わすかも。」
「えっ?」
「頑張ってんだろ?仕事をいっぱい。」
「………悠紀…」
「新しい奥さんできたら少しは楽だろうしな。」
親父はなんだかんだで父親だったんだ。
里沙の時も……
だんだん親父の見方が変わった。
里沙の騒動の時、俺がこんなんでもちゃんといろいろと頑張ってたから。
楽させてあげてやってもいいかなと。
借りは返さないと。
「……なんか変わったな。お前…」
「そうかな…」
少しずつ大人にならないと。
いろいろな辛い思い出も今では役立つ。
「あとな。彼女妊娠してたみたいなんだ…」
「え!?早く言えよ!」
「ああ。だから子供のために仕事頑張るよ。でも悠紀は進路どうすんだ?」
だよな…親父はなんとかなっても今は俺が…
大学進学か就職…
勉強だめだからな〜
でも
「来年…就職する。」
「………え?」
お嫁さん。
そう言った奈々の顔が思い浮かんだ。
俺はもっと変われるよな?
「守りたいやついるから…」
絶対奈々を迎えに行きたい。
だから奈々もこのままでいて下さい。


