「わり…俺は…」


『見たよ?昨日…悠紀がかわいい子といるの。でも…あたしだめなんだ〜まだあきらめつかない…』


「え………」


『雅也は知ってたのかな…』



あいつは何も俺に言わなかった…


でも、知ってたのかもしれない…


だから


礼にまだきっと……


「知ってたかもな。」



あいつは友達思いだから言わなかったんだ…



俺が誰にもマジになれなかったから…


礼も俺も友達のままでいさせたかったのかもしれない。


『雅也…あたしを避けるもん。里沙はね、あたしの気持ち分かってても悠紀が好きだからああなって…』


複雑だ……



でも俺は礼も里沙もだめ。


一番俺が一緒にいたいのは……


「うぅ…また切った…絆創膏〜」


奈々は絆創膏を自分で貼ってる。


可愛くてドジで優しい奈々。


そんな奈々が…


「わり…やっと俺はマジになれた。だから他のやつは考えられない…」


『悠紀…』


「多分一生他のやつは見れないと思う…」


『……分かったぁ…』


雅也はまだ礼が好きなのかもな。


だから言わなかった。


俺のためと自分のために。


あいつには感謝だよ…



俺は電話を切る。



複雑だった…


雅也の気持ちを考えると辛い。


分かってても俺と友達でいてくれたから…



すると


「悠紀〜誰と電話?」


奈々は俺を見た。



「ん?友達。」


「そうなんだぁ〜私も柚に後で電話しよ〜」


奈々と柚ちゃんはとても仲が良い。


去年のクリスマス。



奈々は柚ちゃんといた。


あの時の奈々の気持ちを考えると辛かった。



奈々はずっと待ってくれてたんだ…


俺がこうしてくれるのを……


誰も好きにならないで一途で……


いっぱい泣いて苦しんで…


だから奈々をずっとずっと大切にしたいんだ…


ごめんな礼…


俺はもう奈々以外好きにならないだろう。