―――クリスマス。
里沙との待ち合わせ場所に俺は向かう。
イルミネーションで眩しい街中。
本当だったら奈々といるはずだったクリスマスはもうない。
俺はクリスマスが好きじゃない。
理由はいい思い出があまりないから。
家族三人で過ごしたクリスマスなんて思い出せないくらい昔。
父親の仕事、ケンカ……
まだ幼かった俺は一人でケーキを食べてた。
プレゼントももらえない。
寂しいクリスマス。
だから今年はと思ったのに………
「悠紀〜こっち♪」
里沙が俺を呼ぶ。
待ち合わせ場所に着くと俺らは街を歩く。
「昔付き合ってた頃思い出すな〜」
だけど。
今年は………
ホワイトクリスマス。
雪とイルミネーションが凄い。
「雪なんてロマンチック〜この子にも見せたいなぁ〜」
里沙はお腹を撫でながら言う。
「そうだな。」
なんでいまだに俺は立ち直れないんだろう。
父親になるんだ。
忘れる。
みんなみんな消えてくれ。
けれど……
「柚〜雪だよぉ?」
柚とクリスマスを過ごす事になった奈々ははしゃぐ。
「今年はうちらフリーか〜来年は嫌だなぁ…」
「え〜?奈々は一人でいーや♪」
「奈々ぁ……」
柚は複雑だった。
奈々はまだ悠紀の事を忘れられないから。
「お兄ちゃんに聞く?悠紀先輩の事……」
「いいのっ…」
奈々は雪に触る。
「雪だるま作りたいなぁ…」
奈々は笑って言う。
すると………
「あれっ?悠紀…あの子…クラブに前いた子じゃない?」
悠紀が里沙と歩いていると里沙が言った。
奈々……だ。
奈々は雪だるまを作って子供みたいに喜んで柚に見せてる。
声はかけられないし……
だけど……
「悠紀♪紹介してよ?あたしの事。」


