「風邪ひくなよ?」
「はいはーい!」
里沙を送ると俺は家に帰る。
あいにく親父は留守で、俺は音楽を聞いて部屋で暇を潰す。
“この曲…私も好き♪”
奈々と俺の好きな曲が流れた。
俺は音楽プレイヤーの電源を切る。
俺ばっか未練たらしいな……
俺は辛くて眠る。
辛い時は寝るしか忘れる方法はないよな……
でも、寝ても辛い。
たまに見るんだ。
里沙に子供はいなくて、奈々と俺が付き合ってる夢。
悠紀大好きと言われて照れる夢。
普通なら幸せな夢。
でも、俺には残酷な悪夢だ。
今の現実がみんな夢ならいいのにな……
もう嫌だ……
奈々を忘れたい……
「では、新学期に会いましょう!」
明日から冬休み。
もうそんな時期になってしまった。
冬休みはなるべく里沙といる。
もちろんクリスマスも。
雅也に里沙との事を話した。
雅也はただ頑張れと言ってくれた。
だけど、表情は複雑。
多分、俺の奈々への気持ちを知ってたんだろう。
奈々とはあれからメールもお互いしないし会わない。
すれ違っても避けるしかない。
もう会えないな……
「悠紀〜今日、クラブ行ける?」
「ああ!」
クラブは里沙もいまだに出入りしてるから心配で行く。
雅也がいるんだけどさ。
俺は、奈々を忘れるのに必死だった。
だけど………
「じゃあな〜」
「またな。」
俺は学校を出る。
すると……
「あの…困りますっ…」
え……?
校門の前には奈々がいた。
そして……
「いいじゃん♪遊ぼうよ…君かわいいしさ!」
軽そうな男達。
今までは奈々を避けた。
だけど、今回ばかりはほっとくわけにはいかない。